愛は いつでもそこにあるだわら。目に見えないだけで。

チョコレート(2001)感想

原題「Monster's ball」。
全然違う邦題だと思ったけど、死刑前にやる晩餐会的なものをMonster's ballというんだけど、作中ではチョコレートアイスをカフェで食ったりコンビニで買ったりしてる。

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ネタバレしてモヤモヤを説明する。

主人公は刑務官のおっさん。立つのも一苦労な父親と、刑務官の息子と暮らしてる。
父は黒人が嫌いで庭に入ってくる子供を追い出すように言い、主人公は従って銃を持ちだして追っ払いに行く。「息子に呼ばれてきたんだ」という隣の子供達を「グダグダ抜かすな」と二発ぶっ放して追い返す。
息子は父親と同じ職場で、死刑執行の演習でミスったことを酒場で注意される。そして当日、似顔絵が得意な死刑囚の黒人を連れる途中で嘔吐してしまう。死刑は滞り無く執り行われたが、父は不甲斐ない息子をトイレで殴り、家では出て行けと罵る。
銃を持ちだして激高する息子。「父さんは俺のことが憎いんだろう」「ずっと憎かった」「俺はずっと愛してた」自らの心臓を撃ちぬく息子。


息子の葬儀を済ませ、チョコレートを注文する店に死刑を執行した黒人の妻がウェイトレスとして働き出す。息子をカフェに置いて働き、連れて退勤する帰り道で息子は轢かれてしまう。それを助けた主人公は同じ子供をなくした同士一夜を共にする。
和解して隣の黒人に整備してもらった息子の車を貰ったお返しに、黒人女は帽子を持って主人公の家に行く。そこで会った父の差別的な態度に腹を立て喧嘩別れするも、家の立ち退きにより結局主人公を頼る。主人公は父を施設に入れる。


リフォームした家に黒人女を呼び入れ、再び体を重ねる。急にチョコレートが食べたくなったという主人公。女は死んだ息子の部屋に遺品を見て思いを馳せる。棚の写真を手に取ると、似顔絵を見つける。それは亡き夫が書いた刑務官の似顔絵であった。
帰ってきた主人公は庭でアイスを食べようと言い、二人腰掛ける。
幸福を実感しながらご満悦な男と、先ほどのショックを表に出さず、復讐も自殺もせず黙っている女を写してエンド。

っていう話。モヤモヤした。最後の遺品要素をカットしたら「お互い全部なくした男女が幸福を求めて生活するストーリー」として終わりよければ全てよしにはなってたと思う。
それにしたって
・息子を自殺させたクズ親
・自分のために父親を捨てた息子
・隣の黒人をいいように使う白人(和解したのかもしれないけどこういう風に見えた)
の要素が「えっそれだけしといてお前だけ幸福になっちゃうの」って感じさせるけど。


某インド映画では「悪事に手を染めた兄は誠実に生きている弟の為に命を投げ出す」という勧善懲悪だった。こういう後味の悪さで問題提起してる作品です、と言われてしまえばそれまでだけど。


主人公が本気で黒人を嫌っているのか、「親に言われたから黒人キツく追い出しただけ」っていうのか判断しかねるから微妙だけど。「父の庭だし言うこと聞いとくか」だったら弁解の余地ある。「俺も黒人が嫌いだから本気で追い出しにかかった」ならその後「でも黒人女好きになっちゃった」と「車の整備手伝って」の身勝手さが爆発する。・・・黒人嫌いだったら好きにならなそうだし「父親に従ってあげた」の方がしっくりくるかな。それなら"黒人差別"を「父親が押し付けた意に反する行為」ということで父親におっかぶせて施設に入れたシーンも肯定できる。




アメリカの小説って「はい、こういう物語があったよ、後は自分で考えてね」ってタイプの投げっぱなしシナリオが多い気がする。反面映画はエンターテイメントエンターテイメントしてるというか、ちゃんと「これとこれが問題!主人公はこうした!ハッピーエンド!」みたいなわかりやすい消費ができるのが多いと思うんだよね。ホラー映画だって銃社会の精神なのか物理攻撃の効かない霊体出てこないし。近所の仮面を被ったサイコ野郎か、ドーピング化物野郎を銃ぶっ放して終わり、みたいな。
洋画にそういうのを求めてる身としては、雑、稚拙、分かりにくい、の烙印を押したい。


紹介文に「アカデミー賞を受賞したハル・ベリー云々」。おおきく振りかぶってのエロ談義で「ハル・ベリーだろ?」ってセリフがあった。
Wikipediaハル・ベリー
Xメンのストームか、声が好きだった。あんまり有名なイメージなかったな。


2010/10月の映画天国で放送したのを録画した93分版だから、カットされてた重要なシーンがあるのかもだけどもういいや

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