愛は いつでもそこにあるだわら。目に見えないだけで。

【のっぺらぼう】民話の輸入【死神】

ユダヤの神がキリスト教の悪魔としてベルゼバブに貶められた的な信仰の吸収合併みたいなのを読んでるのは面白い。


のっぺらぼうの話を知っていますか。


 泣いている女に声をかける。
振り向いた女の顔には目も鼻も口も無い。
驚いた男は走って逃げた。
明かりを見つけて蕎麦屋に駆け込む。
聞いてくれ、さっきとんでもないものを見た。
「それはもしかしてこんな顔じゃありませんか」
店主の顔には何もなかった。

         ∧_∧ 
        (    )
     __ (つ|⌒|⌒|
   / /| (⌒)(⌒)
   |  ̄ |/
    ̄ ̄


あらましはこんなん。小泉八雲の「むじな」でも、日本昔ばなしでもこの形式の話があった。



そして
構成も含蓄もバラバラだけど、とにかく中国の怖い話奇妙な話をまとめたっていう「捜神記」に琵琶鬼って物語が載ってる。

  琵琶鬼


 呉(ご)の赤烏(せきう)三年、句章(こうしょう)の農夫楊度(ようたく)という者が余姚(よちょう)というところまで出てゆくと、途中で日が暮れた。
 ひとりの少年が琵琶(びわ)をかかえて来て、楊の車に一緒に載せてくれというので、承知して同乗させると、少年は車中で琵琶数十曲をひいて聞かせた。楊はいい心持で聴いていると、曲終るや、かの少年は忽(たちま)ち鬼のような顔色に変じて、眼を瞋(いか)らせ、舌を吐いて、楊をおどして立ち去った。
 それから更に二十里(六丁(ちょう)一里。日本は三十六丁で一里)ほど行くと、今度はひとりの老人があらわれて、楊の車に載せてくれと言った。前に少しく懲(こ)りてはいるが、その老いたるを憫(あわ)れんで、楊は再び載せてやると、老人は王戒(おうかい)という者であるとみずから名乗った。楊は途中で話した。
「さっき飛んだ目に逢いました」
「どうしました」
「鬼がわたしの車に乗り込んで琵琶を弾きました。鬼の琵琶というものを初めて聴きましたが、ひどく哀(かな)しいものですよ」
「わたしも琵琶をよく弾きます」
 言うかと思うと、かの老人は前の少年とおなじような顔をして見せたので、楊はあっと叫んで気をうしなった。

・・・これで話は終わって次の短編に移る。
共通するものがあって、本当面白いなーと思う。


「えっ?これだけ?」って調子だけど、こんな感じで淡々と怪談奇談が読める捜神記は青空文庫にもあります。
青空文庫:中国怪奇小説集 捜神記(六朝) 岡本綺堂
六朝)っていうのは集めた短編の時代で
  日本怪奇小説集(江戸)
  日本怪奇小説集(明治)
みたいな感じです。


「むじな」ってタイトルが載ってる小泉八雲の本はこっち
小泉八雲集 (新潮文庫)




あと西洋の死神の名付け親って民話を三遊亭圓朝が落語で語った、とかいう話も面白かった。
よくわかる「世界の死神」事典 (廣済堂文庫)(P190に載ってた)


・・・タイプめんどうだなーと思ってたらあらましあった。
wikipedia死神 (落語)




「こういうの、面白くね?」っていうのが言いたく
またそれがピークなので大抵尻すぼみ。
オチはない。おわり。