愛は いつでもそこにあるだわら。目に見えないだけで。

「パラサイト・イヴ」より

片岡聖美は、自分の誕生日(12/24)が好きだった。
誕生日が近づくと、学校も、街も、すべてが活気づき、楽しげに笑い歌い出す。それが好きだった。もちろん、喜びに溢れるみんなの顔が聖美の誕生日のためだけではないことを心得てはいた。だが自分の誕生日に世界中の人が楽しいと思ってくれているというのは悪い気分ではなかった。その日はいつも商店街に赤鼻のトナカイやジングルベルのメロディが鳴り渡り、道行く人達はみな笑みを浮かべている。それは一年の中で一番素敵な一日だった。